アイデアが浮かばない時の対処法②【CMプランナーが語る】

クリエイティブ

こんにちはkiyoです。

今回は、アイデアが浮かばない時の対処法、その②です。

自身のCMプランナーとしての経験を交えて説明します。

商品やサービスの企画開発や、創作活動、表現活動をしている人など、問題解決や面白いことを追及している人の参考になれば幸いです。

僕のCMプランナーとしての詳しい経歴は、前回の記事「アイデアが浮かばない時の対処法①」に書かせていただいてますので、ぜひこちらもお読みください。

アイデアが浮かばない時の対処法①【CMプランナーが語る】
こんにちはkiyoです。 今回はいいアイデアが浮かばない時の対処法についてお話しします。 商品やサービスの企画開発や、創作活動、表現活動をしている人など、問題解決や面白いことを追及している人の参考になれば幸いです。 対処法はいくつかあるんで...

ではまいりましょう。

アイデア浮かばない時の対処法②自分の中の決めつけを疑う

「世の中の常識を疑え。」
「世間のあたりまえを疑え。」

などとよく耳にします。
この言葉はいいアイデアを出すために心がけたいことです。

しかしこれらの言葉が想起する、解決しなければならない問題や、生み出されるアイデアは、ちょっとスケールが大きい感じがします。

みなさん誰もが「世の中の常識を覆すアイデア」を出したいと思っているわけではないでしょうw

なので僕としては「自分の中の決めつけを疑う」という言葉のほうがしっくりきます。

 

アイデアが浮かばない理由の一つに、

「○○っぽくした方がいいんじゃないか?」

と勝手に自分が思い込んでしまう。というのがあります。

これは自分自身が起点となって始める創作活動よりも、何か依頼があって制作しなければならない時の方が陥りやすいです。

「○○っぽくした方がいいんじゃないか?」と似た言い回しに以下のようなものがあります。

 

「こういうアイデアの方が依頼主は好むはずだ。」

「このお題ならこの表現しかないだろう。」

「この条件だとこれは無理だろう。」

 

アイデアを出す際、取り掛かる前から受け手の好みばかり気にしたり、前例や条件にとらわれ過ぎたりして、これはこうだと決めつけてしまうのはよくありません。

狭い範囲の中でしかものを考えられなくなってしまうからです。

結果、アイデアが出にくくなってしまいます。

なので、なかなかいいアイデアが浮かばない時は、まずアイデアを出すべき対象について自分が下している定義や判断を疑ってみましょう。

そして勇気をもって、そのプロジェクトにかかわる人の顔色や、前例、事情、条件について一旦考えるのをやめましょう。

そうすることで、あらゆる決めつけや制約のない目線を持ち、広い範囲からアイデアの種を探せるような心理状態に持っていきます。

 

失敗談/自分の中で決めつけた化粧品っぽさ

僕がCMプランナー1年目の時のことです。

ある超大手化粧品会社の新作ルージュ(口紅)のCM企画に参加させてもらいました。

当然口紅や化粧品のことなど何も知らない僕は、とにかく手探りでアイデア出しを始めました。

その時点で何となく思っていたのは、、

「きっとクライアントさんが今まで作ってきたような、ファッショナブルでセンスのいい、化粧品っぽいCMがいいんだろうな。」

という事でした。

そのクライアントさんの広告はいつも素晴らしく、僕としても憧れがあったので、そんなふうに思ったのかもしれません。

商品の口紅の特徴は、「プルンとして柔らかく、みずみずしい唇になる」だったので、そのことをファッショナブルで、センス良く、化粧品のCMっぽく描こうとしたのです。

しかし、なかなかいいアイデアは出せませんでした。

一回目の打ち合わせでは、案の定自分の企画は評価されませんでした。
そして、その打ち合わせ終わりに、僕の企画を見た同じ会社の制作部の先輩にこんなことを言われました。

「お前の企画って新人っぽくないね。」

僕はめちゃくちゃ混乱しました。

新人っぽさってなんだ?

新人っぽさを出さなきゃいけないのか?

そもそも意識して出す新人っぽさって新人っぽくなくね?!

混乱は収まらず。二回目の打ち合わせでも納得のいく企画を出すことができませんでした。

結局僕が考えていた、「ファッショナブルで、センス良く、化粧品のCMらしい表現」で、「プルンとして柔らかく、みずみずしい唇になる」ということを、印象的に描くアイデアは出せなかったわけです。

 

で、どんなものが採用になったかというと、二回目の打ち合わせで、フリーのベテランプランナーさんが出したこんなアイデアです。

 


実際にはもっと雑な絵だったと思います。

ちっちゃい男性が女性の唇の上で嬉しそうに飛び跳ねているというイメージです。

なんか、まるでギャグみたいだと思いませんか?

打ち合わせでは、みなさんこれを見て口々に、

「これいいねぇ!面白い!」

と評価されていました。

僕はこれを見て衝撃を受けました。

「ファッショナブルに、センス良く、化粧品のCMっぽく」という考えに凝り固まった僕には到底思いつくことができないアイデアだと思ったからです。

このアイデアがキービジュアルになったCMは実際制作され、唇の上を飛び跳ねている男性は俳優の玉木宏さんが演じました。

アイデアを「置きに行って」しまった

前述の制作部の先輩の言葉に戻りますが、

この「唇の上を飛び跳ねている男性」のアイデアは、なんだか(いい意味で)新人が考えたアイデアみたいじゃありませんか?

化粧品のCMらしからぬ、あまりハイセンスとは言えない、でもインパクトの強いビジュアル。

一方、僕は「こんな風にしといたほうがいいだろう。」「それっぽくやっとこう」と思い、結果、何となく成立はしてそうだけど印象は薄い企画ばかり。

あげく「新人っぽくない」と言われてしまう。。

 

野球では、ピッチャーがストライクを取ろうとするあまり、力のこもってないボールを投げてしまうことを「球を置きに行く」と言います。

それに例えると、まさに僕は「こんな感じがいいんだろう?」とアイデアを置きに行ってしまったのだと今振り返れば思います。新人にもかかわらずw

 

いいアイデアがないままに、いくらそれっぽく表現や雰囲気を取り繕っても、そこに面白みがないことを隠すことはできません。誰の目にもバレバレです。

それでは人の心は動きません。

これ以降、僕は「何となくこんな感じがいいだろう。」とか「この方向しかない。」などと決めつけてアイデア出しに臨まないようにしようと心掛けるようになりました。

決めつけてしまった時点でもうそれ以上アイデアは出ないと思っています。

まとめ

今回もつらつらと経験談を書かせていただきました。

対処法としては以下のようにまとめました。

アイデア出ない時の対処法②まとめ

・自分の考えや価値観に対して常に「なんで?」「ほんとにそうなの?」と自問自答する。
そうすることで多角的な視点を持ち、様々な切り口のアイデアがみつかるようになる。

 

・関係者の声や、前例、制約を気にしすぎない。
条件や周囲の意見を満たしていなくてもいいアイデアは評価される。アイデアが相手の想像を超えれば相手は何も言わなくなる。

長いまとめになってしまいましたw(汗)

 

私たちは何かを当たり前だと思ってしまうとそれ以上考えなくなります。

「何で?」と思わなくなります。

「何で?」と考えるのはめんどくさいからです。

で、「これはこういうもんだから。」と片付けてしまいます。

それが往々にして「盲点」になってしまうんだと思います。

 

日頃から「何で?」や「ほんとにそれはそうなの?」と自問自答するクセをつけておきたいものです。

ありがとうございました。

 

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