こんにちはフリーランス歴16年のkiyoです。
フリーランスのみなさん、下請法ってご存じですか?
得意先から不当な扱いを受けた。
理不尽な要求をされた。
ということがあった時、下請法は僕らフリーランスを守ってくれます。
この法律を知っているのといないのとでは得意先との交渉力に大きな差が生まれるんです。
僕自身ここ最近、得意先とのトラブルに見舞われ、こういった法律の知識が足りないことを痛感しました。
ですので今回は、下請法について紹介しながら、得意先に何をされたら法律違反なのかを知っていただき、また、トラブルに見舞われた際の相談先についてもご紹介します。
ではまいりましょう!
僕のケース 突然のギャラ引き下げ
まず僕のケースについて話させてください。
先々月、長年取引させてもらっている得意先から、契約内容変更の申し出をされました。
この申し出は、僕以外にもこの得意先と外注契約を結ぶ全ての同業者を対象にしたものです。
変更内容の説明を受けたところ、今後発注する案件に対し支払うギャラを3割~5割減額するというものでした。
僕はそれを聞いて驚きはしましたが、感情としては、
「発注側がそう決めたのならそうするしかないだろう。。得意先はここだけじゃないし。。」
「ギャラが割り引かれるなら引かれたなりの労力の仕事をするしかないかな。。」
「他の得意先から受注を増やせるように頑張ろう。。」
というような感じで、なんとなく要求を受け入れるしかないのかなと思っていました。
しかしすぐに、面識のある先輩同業者の方から連絡が来ました。
その連絡の内容は、
「得意先による今回の契約更新の件は、下請法に抵触していると思われる。同業者の方々を代表してこちらで得意先と交渉していくので、契約を交わすのを待って欲しい。」
ということでした。
なんとも頼もしいお言葉!!思ったと同時に、
「これって法律違反なんだ。」
と、自分としては全く思ってもみなかったことに気づかされ、自分が法律に関して全く無知であることを恥じました。
その後、先輩同業者の方々が交渉に当たってもらったおかげで、この契約の件は白紙撤回となり、いろいろゴタゴタはありますが、以前と同じ契約内容で取引を続けることが出来ています。
しかしこれを機に、下請法をはじめとするフリーランスを守るための法律や知識について基本的なことだけでも学んでおくべきだと痛感しました。
まず「下請けかけこみ寺」へ電話相談
あなたが仕事上の取引に関して、何らかのトラブルや悩みを抱えてしまったら、法律について知るためにネットや本に当たるよりもまず先に
「下請けかけこみ寺」
というサイトにアクセスして、最寄りの相談所に電話相談することをおススメします。
「下請けかけこみ寺」は公益財団法人「全国中小企業振興機関協会」というところが中小企業庁から委託を受けて実施している電話相談サービスです。
弁護士や専門の相談員が話を聞いてくれます。
まずは法律のことなどよくわからなくても、ここで自分の状況を伝えることで、得意先に違法な対応をされていないかどうか、専門家の見解を聞くことでハッキリさせることができます。
違法行為が疑われる場合、どんな法律のどんな条項に触れているのかも教えて貰えます。
また今後どのような対応をすればいいかのアドバイスもらえます。
大事なことはメモを取るなどしながら相談をしましょう。
僕の場合の、突然のギャラの引き下げ要求は下請法の「買いたたきの禁止」と独占禁止法の「優先的地位の乱用」の疑いがあるとアドバイスもらいました。
また、今後の得意先とのやり取りはできるだけメールで記録が残るように。電話であればできれば録音することを勧められました。
この電話で専門家に話を聞くことで、やはりかなり違法性の高い契約なのだなとはっきり認識できました。
この契約は交わすべきではないと気持ちをハッキリ固めることが出来ました。
下請法とは?
さて下請法の「買いたたきの禁止」という言葉がありましたが、これは下請法の禁止事項の一つです。
他にもいくつかの禁止事項があり、それについてご紹介します。
ネットでも簡単に調べることが出来ますが、周辺知識もつけられるかもと思い、読みやすそうな本を探してみました。
こちらの本を参考にしながら、得意先にこんなことされていたら、それは違法行為だよ。という事をわかりやすく噛みくだいて説明します。
下請法が定める得意先(親事業者)の禁止事項
①受領拒否の禁止(「やっぱナシ」はダメ!!)
得意先は、下請け業者に落ち度がないにもかかわらず、納品された成果物の受け取りを拒否してはいけない。
②下請け代金の支払い遅延の禁止(60日以内に払え!!)
得意先は下請け業者の納品物を受け取った日から60日以内に定めた期日までに代金を支払わなければならない。
③下請け代金の減額(後出しで値切ってくんな!!)
得意先は、発注時に決めたギャラの額を下請け業者の落ち度がないにもかかわらず、発注後に減額してはならない。
④返品の禁止(発注通りやったのに返品すんな!!)
得意先は、下請け業者の納品物を受け取った後、下請け業者の落ち度がないにもかかわらず返品してはならない。
⑤買いたたきの禁止(今までこの額でやってきたのに急にギャラ下げんな!!)
得意先は、発注時ギャラの額を決める際、発注した作業内容と同じような案件に支払われる通常の金額に比べて著しく低い額を不当に定めることはできない。
⑥購入・利用強制の禁止(こっちにモノを買わせんな!!)
得意先は、下請け業者に注文した成果物の生産、製作の維持のためなどの正当な理由なしに、得意先が指定する製品や材料やサービスを強制的に購入させてはならない。
⑦報復措置の禁止(チクったからって仕返しすんな!!)
得意先は、下請け業者が得意先の下請け法違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、その下請け業者への発注を減らしたり、取引を停止したり、その他嫌がらせをしてはならない。
⑧有料支給原材料等の対価の早期決済の禁止(こっちが諸経費払う前にギャラ払えよ!!)
得意先は下請け業者の成果物の作成に必要な、部品、材料等を有料で支給している場合、下請け業者に落ち度がないにもかかわらず、成果物の代金支払いよりも前に部品、材料等の代金を支払わせたり、成果物の代金から相殺してはならない。
⑨割引(現金化)困難な手形の交付の禁止(60日以上の手形を切るな!!)
得意先は下請け業者に代金を手形で支払う場合、支払日までに一般の銀行等で割り引くこと(現金化すること)ができない手形を交付してはいけない。
⑩不当な経済上の利益の提供要請の禁止(パワハラすんな!!)
得意先は下請け業者の利益を不当に害するような金銭の提供や無償のサービスの提供を求めてはならない。
⑪不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止(ノーギャラでリテイク出すな!!)
得意先は、下請け業者に落ち度がないにもかかわらず、発注の取り消しや発注内容の変更、また納品後のやり直しをさせてはならない。(ただし変更や追加の作業分の報酬が上乗せされる場合がこの限りではない。)
以上が下請法の禁止事項になります。
禁止事項は「強行法規」」である
これらの禁止事項は全て強行法規という条文です。
強行法規とは「当事者間が合意したか、していないかにかかわらず、適用される規定」です。
つまり下請法の禁止事項は、いかなる契約の内容よりも優先される法律の規定なのです。
ここは重要なポイントです。
なのでもしあなたが得意先と新たに外注契約書を交わすようなことがあった時、その契約内容に禁止事項に触れるようなものがあれば、そもそもそんな契約は無効だという事です。
まとめ
今回は以上になります。
本当なら得意先とトラブルがあった時具体的にどう対処し交渉していくかや、フリーランスを守ってくれるもう一つの法律「独占禁止法」についても説明したいところですが、長くなるのでそれはまた別に機会にしたいと思います。
ではまとめます。
・まず「下請けかけこみ寺」に電話相談!
・下請法の禁止事項について知ろう!
・禁止事項は「強行法規」である!
・禁止事項を含む契約は無効!
法律の知識を深めてフリーランスライフをサバイブしましょう!
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